社会基盤施設を支える地盤に関する研究を行っています。その内容は,地震時に砂地盤が液体のようになる液状化現象の解明とその対策,粘土地盤の沈下特性の評価,メタンハイドレートが存在しているオホーツク海などでの堆積土の採取と海底地盤の安定性評価などを行っています。
液状化現象とは,地震の揺れによって地面が液体のようになってしまう現象のことをいいます。起こりやすい場所は,埋立地やむかし川であった場所など地下水位が高く砂が緩く堆積した地盤です。液状化現象が起こると,土が液体のようになってしまうので,地面の上にある建物などが沈んだり傾いたりします。また,地中に埋まっているタンクやマンホールなどが浮き上がることもあります。マンホールの浮き上がりは1993年に発生した釧路沖地震で注目され,2004年新潟県中越地震や2011年東北地方太平洋沖地震でも多くのマンホールが浮き上がりました。マンホールが浮き上がらないようにするために,土を硬くして液状化が起こらないようにするほか,いろいろな形のマンホール模型を作って,液状化が発生しても浮き上がりにくいマンホールを考案するなど,液状化による被害を少なくするための研究を行っています。
マンホールの模型を作って土の中に埋め,振動台で揺らして液状化現象を起こして,マンホールの浮き上がり再現したものです。
「メタンハイドレート」とは,水分子のつくるカゴ状の結晶の中にメタン分子が取り込まれた氷のような白い固体で,火を近づけると燃えることから「燃える氷」とも呼ばれています。メタンハイドレートは低温・高圧の条件で安定な物質なので水深の大きい海底地盤などに存在し,将来のエネルギー資源の一つとして注目されています。北見工業大学ではオホーツク海やロシア・バイカル湖で実際にメタンハイドレートの採取を行ってその性質を調べています。また,将来資源として利用する場合にメタンハイドレートを採取すると海底地盤の沈下や地すべりの発生,メタンガスの大気への放出による環境への悪影響も懸念されています。そこで,将来安全にメタンハイドレートを採取するために,メタンハイドレートが存在している地盤の強さや沈下特性などを調べています。
バイカル湖で採取したメタンハイドレート。写真の白い部分がハイドレートの塊です。