このたび、本学大学院博士前期課程社会環境工学プログラム2年の由本達真さん(地盤凍結・緑化工学研究室,指導教員:中村大教授)が、6月7日に開催された2025年度資源・素材学会北海道支部春季講演会において、若手優秀講演賞を受賞しました。学会発表時のプレゼンテーションが高く評価されて、受賞となりました。
由本さんの発表タイトルは、「凍結融解履歴が岩盤斜面の安定性に与える影響の評価」です。
研究概要:積雪寒冷地域では、地盤の凍上現象により土木構造物が変状してしまうことが広く知られています。凍上による被害のうち、近年では岩盤斜面における凍上が大きな問題となっていますが、これまでの凍上現象に関する研究は土を対象としたものがほとんどであり、岩盤を対象とした研究事例は極めて少ないのが現状です。このような背景から、本研究では凍結融解履歴が岩盤斜面の安定性に及ぼす影響を解明することを目的としました。実験には、実際に凍上被害が確認された岩盤斜面から採取した泥岩の岩石試料を用い、これに凍結融解履歴を与えた上で、定圧一面せん断試験を実施しました。その結果、凍結融解履歴により岩石のせん断抵抗が著しく低下することが明らかとなりました。さらに、定圧一面せん断試験結果から得られた強度定数を用いて斜面の安定解析を行ったところ、凍結融解履歴の影響によって岩盤斜面が極めて不安定になる可能性があることが示されました。
受賞した由本さん(左)